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自分の強みが分からない個人事業主のための「棚卸し」3ステップ

2026.07.10


「自分の商売の強み」

考えてもなかなか思い浮かばないことはありませんか?

私自身、自分の商売の言語化には苦労しました。
うちの長所は?独自性は?……何もないんじゃないか?そう悩んだ時期があります。

しかし、強みのない事業者さんは、いません。
強みが分からないのは能力の問題ではなく、棚卸しをしていないだけなのです。

この記事では、その棚卸しのやり方を「書き出す → 絞る → 翻訳する」の3ステップでご紹介します。
実は先日、私自身がこの3ステップを自分の商売でやってみました。正直に言うと、途中で何度か詰まりました。だからこそ、詰まりやすいポイントも含めてお伝えできます。

用意するのは紙とペン(スマホのメモでも大丈夫です)。読みながら、一緒にやってみてください。


なぜホームページを「作る前」にやるべきなのか

順番が逆になると、空の器だけが先にできてしまうからです。
強みが言葉になっていないままサイトを作ると、「高品質なサービスをお届けします」のような、どこにでもある言葉で埋めるしかなくなります。

このあたりの話は、「なぜ私は『飾るのではなく翻訳する』のか」という記事に詳しく書きました。

逆に、言葉が先に決まっていれば、ホームページだけでなく、チラシもSNSも名刺も、すべてがその言葉の置き場になります。

だからこの棚卸しは、デザインを考えるより前の、いちばん最初の工程なのです。


STEP1 書き出す:「お客さんに言われたこと」を集める

ここから実際に棚卸しを始めていきましょう!

まず自分が思う強みから始めないことを大前提にします。理由は、当たり前になっていて出てこない、思い込み・謙遜が混ざるといったことが起こるからです。

そこで棚卸しのSTEP1の書き出しは、外部の事実から集めます。

まず以下の問いかけに回答してください。

  • お客さんから言われた感謝の言葉、褒め言葉は?
  • 「なんでこのお店(事務所)を選んだんですか?」と聞いたら、お客さんは何と答えそうですか?
  • リピートしてくれる常連さんは、なぜ通い続けてくれているのでしょう?
  • 特に感謝された・驚かれた場面は?
  • 自分では当たり前にやっているのに、お客さんによく質問される・珍しがられることは?

もし上記でも出てこないならば、「起きなかったこと」で探してください。

  • 開業してから、お客さんが途切れず続いていませんか?
  • クレームになったことが、ほとんどないのでは?
  • 紹介や口コミで来てくれたお客さんはいませんか?

「何も起きていない」は、何もないことではありません。トラブルなく商売が続いている事実そのものが、お客さんからの無言の評価です。

きれいにまとめずに、思い出した順に箇条書きでバーッと出す程度で大丈夫です。
その後のSTEPで掘り出していきます。

私自身がやってみたときも、すらすらは出てきませんでした。5つの問いのうち、答えられたのは2つだけです。
それでも、出てきた言葉は「自分が思う強み」よりずっと輪郭がありました。


STEP2 絞る:「同業他社も言えること」を消す

このSTEPでは、書き出したものから、同業の誰でも言える抽象語に線を引いて消していきます。

基準は「抽象は消え、具体は残る」です。

消える例:

  • あなたに合うスタイルを提供(美容室)
  • 根本的に改善(整体院)
  • 幅広く対応(士業)

どれも立派な言葉ですが、同業のどのお店のサイトに置いても成立してしまいます。

残る例

  • カットの前のカウンセリングに、初回は30分かけている(美容室)
  • 病院で「手術しかない」と言われたお客さんが、通ううちに旅行に行けるようになった(整体院)
  • 相続の相談で、税理士や司法書士への橋渡しまで自分がやっている(士業)

私がやったときは、出てきた言葉の全部に線が引けてしまいました。「やっぱり、ないんじゃないか」
正直、そう思いました。
でも実は、これは強みが消えたのではなく、書き出しが「具体」まで届いていないだけなんです。

消えてしまった言葉に、「具体的には、何をしているんだっけ?」と聞き直してみてください。「丁寧な接客」が消えたなら、丁寧の中身は何か。お客さんの名前と前回の話題を覚えていることかもしれないし、お会計のあと外までお見送りしていることかもしれない。その中身こそが、残る「具体」です。


STEP3 翻訳する:「お客さんに届く言葉」に置き換える

STEP2で残った強みを、ここではお客さん側のメリットの言葉に言い換えます。

以下がそのBefore / Afterになります。

(美容室)

Beforeカットの前のカウンセリングに、初回は30分かけている
After切り始める前に、30分。あなたの「なりたい」と「気になる」を、全部聞かせてください。

(整体院)

Before病院で「手術しかない」と言われたお客さんが、通ううちに旅行に行けるようになった
After病院で「手術しかない」と言われた方が、今は旅行を楽しんでいます。
あきらめる前に、一度ご相談ください。

(士業)

Before相続の相談で、税理士や司法書士への橋渡しまで自分がやっている
After相続のご相談で、税理士さん司法書士さんを別々に探し回る必要はありません。
窓口は、ここ一つで済みます。

翻訳のコツは一つだけです。残った事実に、「この強みで、お客さんの何が変わる?」と自問すること。30分のカウンセリングで、お客さんは「ちゃんと聞いてもらえる」に変わる。窓口が一つで、「探し回らなくていい」に変わる。その変化を、そのまま文にすればいいのです。

また翻訳中に気をつけていただきたいことがあります。
「あなたに合う」「根本的に」「幅広く」など、消したはずの便利な言葉に着地してしまう点です。
私も翻訳中に無意識にこの便利な言葉を呼び戻してしまい、どこにでもあるような表現になってしまいました。
ここは、書き終えたら一晩置いて、消したはずの言葉が戻っていないか、意識して読み返してみてください。

もう一つ。翻訳後の文からエピソードや数字が消えていたら、翻訳しすぎの状態です。
実は私も最初の下書きでは、「30分」も「旅行」も消してしまっていました。きれいにまとめようとするほど、具体は蒸発します。
「30分」・「旅行を楽しんでいます」・「税理士さん司法書士さん」
翻訳の前後で、こうした具体が生き残っているか。読み返すときは、そこを確かめてください。


結び:言葉が決まれば、サイトは半分できている

見出しのとおり、言葉が決まれば、ホームページは半分できたようなものです。
この記事の前半でも触れたように、棚卸しした言葉は、ホームページだけでなく、チラシ・SNS・名刺、あなたの商売を語るすべての場面の土台になります。その言葉をどこで使い始めるかは、「個人事業主のためのWeb集客の基本 — 全体像と最初の一歩」にまとめました。

STEP1で2つしか書けなくても、STEP2で全部消えたように見えても、大丈夫です。
私自身がそうだったように、聞き直し、絞り、翻訳していけば、自分では気づけなかった強みは必ず言葉になります。

それでも、自分のことは自分がいちばん見えないものです。一人での棚卸しが難しいと感じたら、対話しながら一緒に見つけることもできます。

まずは今日、紙とペンを用意して、STEP1の問いをひとつだけ自分に投げてみてください。
お客さんに言われた、あの一言。そこから、あなたの商売の翻訳が始まります。